第6章 初めて歩く二人の距離
「…………本当にいいの?……つまらなくない??」
パンケーキ屋を後にした私たちは先ほど約束していた通りに、今度は悠が私の買い物に付き合ってくれることになり、今は服屋に来ているところだった。
店内はもちろん女の子しかいないわけで、悠の存在は余計に際立ち、周囲にいる他の買い物客もチラチラと彼の様子を気にしているのは明らか。
悠「ん?俺いると見にくい?それなら外で待ってるけど。………でも、俺としては花音の服、一緒に選びたいなーとか思ってるんですけど?」
ニィと悪戯な笑みを見せる悠に、ドキリと跳ねる心臓。
「えっ!や………その、嫌とかじゃなくて………お店の中女の子ばっかだし…服も女物だけだし、つまらなくないかなって………」
悠「?何で?………別にどこにいようが、お前と一緒にいんだからつまんねぇはずないだろ?」
突如彼の口から放たれた甘い言葉に一瞬にして赤く染まった私の顔を覗き込みながら、その長い指が私の唇を撫でていく。
「___っ////!!」
悠「…………そんな顔して………………………キスすんぞ?」
私を見つめる瞳にこもる熱に気づき、同時に自分の体がジンと、熱くなっていくのを感じる。
(……………私も、したい…よ……。)
本心とは裏腹に現実の私は顔を赤らめたまま俯くばかり。
そんな私を見て悠はクスクスと笑いながら、冗談だよ、と呟き、服を物色し始める。
その姿をしばらく見つめていると、間もなく笑顔の悠が私に手招きをした。
悠「………おいで?」
ふわりと柔らかく笑う彼の表情に、見惚れてしまった私はほぼ無意識に伸ばされた彼の手を掴んでいた。
そのまま抱き寄せられる体。
ドキドキ
嬉しい
恥ずかしい
どうしよう
いろんな気持ちが入り乱れていく。
でも、それは決して嫌な気持ちではなくて、
これこそが"恋する気持ち"なのだと。
「……… 悠が一緒に選んでくれるの嬉しい…!」