第6章 初めて歩く二人の距離
何となく気まずくなった私たちは、しばらくの間俯いていた。
(う゛・・・何か今更ながら恥ずかしくなってきた///)
そわそわと落ち着きをなくす私を見ていたらしい悠が、くくっと小さく笑うのを感じた。
見上げると口許を押さえながら笑顔を見せる悠と視線が合ってしまって。
「___っ///!!」
途端にうるさくなる心臓。
やっと引いたはずの顔の熱は再び熱さを増していく。
悠「・・・ほら、そんな顔してないで、せっかくのデートなんだから楽しもうよ。知ってる・・・?俺らちゃんとしたデートは今日が初めてなんだよ?」
覗いてくる悠の綺麗な顔は、見る度に私の胸をぎゅうと締め付けてくる。
(ああ・・・本当に、この人が堪らなく好き・・・)
溢れてくる愛しい想いに胸が暖かいものでいっぱいになっていく。
人を好きになるって、こんなにも幸せで、楽しくて、苦しいものなんだって、彼と出会って初めて知った。
「・・・そうだね。悠とこんな風に過ごせるなんて夢見たい。」
笑ってそう伝えると、少し不機嫌そうに眉をしかめる悠。
悠「・・・夢じゃ困る。ちゃんと現実で俺と花音は付き合ってるんだよ?デートだって、これからいっぱいしていこう?・・・2人で沢山思い出を作ろう?・・・夢なんて思わせないよ。」
ふいに伸びてきた彼の整った長い指が、私の口許に触れる。
すぐに戻っていったその指を悠は赤く艶めく舌でぺろりと舐め、ふわりと目を細め笑う。
悠「・・・ほら、現実だって、こんなにも甘いんだよ。」
「____//////!?」
免疫のない私には強すぎる悠の甘さに、言う言葉すら思いつかなくなってしまい、私はただただ顔を赤らめ俯いていた。