第6章 初めて歩く二人の距離
悠の家を出て私たちは、町へ買い物に来ていた。
休日の町には人が溢れ、すれ違う人たち(特に女の人)が必ずと言っていいほど、悠を振り返っていた。
(さすが、悠………背も高くて格好いいから目立つよね……釣り合わないって思われてるんだろうな……)
周囲の視線に少し落ち込む私だったが、隣にいる悠は視線のことなど気にする様子もなく、話を続けていた。
悠「よかったのか?俺の買い物なんて付き合わせて。せっかくの花音との初デートだし……他んとこでも……」
恋人繋ぎをしながら歩いていると、悠が困ったような笑顔で私に問いかけた。私は頭を振り、彼に笑顔を返し答える。
「ううん。私が悠の買い物に付き合いたいの。…普段、悠がどんなお店見たりしてるのか知りたいし……///」
私の言葉に悠がふわりと笑い、繋いだ手をぎゅっと強く握った。
悠「……ん。そっか……ありがとう。花音が俺のこと、知りたいって言ってくれるの、すげぇ嬉しいわ。……じゃ、俺の買い物の次は、お前の買い物な?」
「……あっうん……///でも、私のは今日じゃなくても__」
悠「いいから!俺も花音のこと知りたいんだよ。……あとさ……もっと甘えていいからな?遠慮はなしな?」
思わず顔を赤くしてしまう私。
心臓はドキドキと騒ぎだし、今更ながら彼とデートしているという事実に緊張を覚えた。
「う、うん……甘えられるよう、頑張ります……」
悠「プッ何だそれ。固すぎだろ~。」
彼は楽しげに笑いながら、繋いだ手を離すと私の肩を抱き寄せた。
私の耳元に近づく彼の唇から漏れる熱い息が、耳を掠め、その度にゾクゾクと体に甘い電流が走る。
悠「……周りのことなんていいから……俺のことだけに集中しろよ…… 花音?」
耳元で少し低い声で話す悠の甘い言葉に、一際胸が跳ね上がった。
顔を赤くし俯く私を、彼はいつもの優しい笑顔で見つめていた。
悠「本当……可愛いな。………お前。」