第9章 風邪を引いて… 〈夜久衛輔〉
ひんやり額が冷たくて目を覚ます。
寝ながら時計を見ると10時半ぐらいを指していた。
ダルい体を起こすとボトッと濡れたタオルが頭から落ちてきた。
それを見て冷たいものの正体がこれだとわかった。
すると
夜「あ、起きたか。具合どう?ポカリでも飲む?」
横を向くとやっさんがペットボトルのポカリを持っていた。
「うん……………。
…あれ…やっさんがいる………幻覚?」
ぼーっとした私の頭ではやっさんがいるわけないから幻覚かと思った。
夜「いや…本物だから!大丈夫かよ?」
やっさんに心配されながら私は渡されたポカリを一口飲んだ。
「……なんで?学校は?」
実際驚いたがそんなデカイリアクションする元気もでない。
ってか普通に勝手に家に入ってきてる…。
確かにお互いの部屋を出入りしてたけど、無断って…。
夜「休んだ。クロにメールしといたから大丈夫だと思う。お前んち親どっちもなかなか家に帰ってこないしちょっと心配になって来たんだけど…。」
「そんな…別に大丈b…ゲホゲホ…!!!」
急に咳き込んでしまった。
夜「全然大丈夫じゃないだろ!!ほら寝てろって。」
優しく背中を擦って私を寝かし掛け布団をかけてくれた。
「でも…どうやって家に入ったの?私鍵閉めてなかったっけ……?」
夜「前に朱鳥に家のスペアキー渡されたんだけど。なんかあったときのためにって。覚えてない?」
「…あ…そういえば…。」
なかなか家に帰ることがない親が私を心配してかやっさんに家の鍵を預けておくよう言われて渡したのを思い出した。
夜「とにかく、今水持ってくるから熱計ってろ。」
「…うん……。」
私に体温計を渡しやっさんは部屋を出ていった。
カゼのせいかやっさんの優しさについ甘えてしまう。
やっさんが戻ってきて少したって体温計がピピッと音が鳴る。
夜「ほら、見せてみろ?」
「……ん…。」
私は体温計を見ずにやっさんに渡した。
夜「39.0℃か。高いな。とりあえず薬飲んで寝てろ。」
私はやっさんが渡した薬と水を飲んでまた横になって目を瞑った。