第80章 元気になる1番の薬〈岩泉一〉
しばらくして、レジに来た岩泉くんは、いつもよく買っている、ガムとジュースの他にチョコと錠剤の風邪薬と水を持ってきた。
やっぱ風邪流行ってるんだなって最初は思った。
「岩泉くん風邪?大丈夫?」
商品を袋に入れて渡すときに心配でそう聞いたら。
岩「いや、俺じゃなくて。」
って答えた。
「?じゃあ家族の人?」
家族のために風邪薬をかってあげるなんて優しいななんて思っていたら。
岩「いや、これはあなたに。」
そう言って、袋からチョコと風邪薬と水を出して私の前に置いた。
「え?」
岩「何か顔色悪いから風邪かなって思って。…それに話し聞いてると忙しそうだったら、チョコでも食べて元気になればと…。チョコって疲労回復の効果あるっ言うし。……あ、違ってたらすいません。」
って言ってくれた。
最初は何でわかったんだろうと思った。
そして、徐々に泣いてしまいそうなぐらい嬉しさが込み上げてきた。
わたしはグッと涙を堪えた。
「………ううん、実はそうなの。……ありがとう……。凄く嬉しい。」
岩「いや、別に。」
そう言っている岩泉くんの顔は少し赤く見えた。