第79章 素直になりたい恋心〈松川一静〉
その日のお昼休み。
理央の言葉が気になって私は貴大に聞いてみた。
「ねー。貴大ってさ好きな人いんの?」
貴「は?何いきなり?…もしかして松川がなかなか振り向いてくれないから俺に乗り替えようとか思ったの?」
「違うって!ただ貴大、私の恋とかには協力とか相談乗ってくれてるけど、貴大自身の恋とか聞かないからさ。」
思い返せば確かに貴大の好きな人の話は聞いたことがない。興味本位で聞いてみたら思いもよらない答えが返ってきた。
貴「ふーん。じゃあこの際だから言うけど、 俺、お前のこと好きだった。」
「へ!?」
一瞬何を言ったのかわからなかった。
貴大が私を………?
貴「そりゃそうだろ?いつも一緒にして恋に目覚めないわけないだろ?」
「……。」
私は一緒にして全然思わなかったのに、貴大は違っていた。
その現実を知って私はなんと答えればいいかわからず黙ってしまった。
貴「でも、安心しろ!もう好きじゃないから。…あー恋とかそういう意味でな!…お前は俺の気持ちに全然気づかないし、むしろどんどん松川を好きなっていくから諦めた。それだけ。」
いつも一緒にいたのに私は自分の恋のことばかりで貴大の気持ちに気づいてあげられなかった。
「ごめん。私……。」
貴「別に、朱鳥が謝ることじゃないから気にすんな。」
私が謝ると貴大は笑って言った。