第78章 1ヶ月間の出会い。〈岩泉一〉
そして……金曜日。
その日に限って担任の教師に呼び出されて遅くなってしまった。
じいちゃんに顔出すことも出来ないまま俺は朱鳥が電車を待っているであろう駅に向かった。
一「朱鳥っ!!」
「一くんっ!?…もしかして見送りに来てくれたの?」
走って駆けつけると、朱鳥はいつも持っている鞄の他に、少し大きめの紙袋を持っていた。
たぶん、施設で使った道具とかが入っているのだろう。
一「あぁ。ただ、進路のことで担任に呼び出されちまって…。」
「うんん。来てくれただけで嬉しいよ!ありがとう。」
一「じいちゃんも世話になったみたいし、ちゃんと礼言ってなかったからさ。」
「そんなお礼なんていいのに…。」
一「いや、俺が言っておきたいんだ。ありがとな、朱鳥。」
俺がそう言うと、朱鳥は優しく笑った。
「…どういたしまして!…こちらこそありがとう!」