第7章 釣り合い〈及川徹〉
彼に抱かれてだいぶ落ち着いた頃。
及「ねぇ…また俺と付き合ってくれるよね?」
私の肩を掴んで少し離し私の目を見て言われた。
「…で…でも………。」
つい私は目を反らした。
不安で怖かった。
また自分がああいう思いをすると思うと。
だけど彼は言った。
及「大丈夫だよ。もう朱鳥に辛い思いはさせないから。
…俺は本当に今でも朱鳥が一番好きだよ?
朱鳥は?」
相変わらずの優しい彼の言葉。
でもそれは信じられる気がした。
もう一度チャンスをくれますか…?
もう素直になっていいですか…?
そう神様に祈って私は彼を見た。
「好きだよ。徹のこと…。ずっと…。
徹以外好きになったことなんてないもん。
ずっと好き。」
徹「…やっと名前で呼んでくれたね。」
「………ごめん。」
徹「いいよ。だって…朱鳥がまだ俺のこと好きだってわかったから。
ねぇ…お互い好きだって思っている以外に付き合う理由って必要?
釣り合いとか気にしなくていいんじゃないかな?」
「……そう…なのかな。」
徹「俺はそう思ってるよ。
だから…
俺と付き合ってください。」
彼からの2度目の告白。
私は頷く。
「うん…お願いします。」
すると彼は微笑んで優しくまた抱いて…
そして
キスをした。
久々のキスは
この1ヶ月できなかった分
少し長かった―。
-釣り合い-
END