第75章 私の中のヒーローへ〈金田一勇太郎〉
そして
私は何の予想もしてなかったような勇くんにキスをした。
「私は……勇くんが好きなんだよ?」
私はこらえていた涙を少し流しながら告白した。
勇「……は……?……マジで?」
勇くんは驚いて次の言葉が出てこないようだった。
「マジで。結構アピールしていたつもりだったのに勇くん、全然気づいてくれないんだも。でもそれは私のところ幼馴染みとかマネージャーとしか見てなかったからなんだよね?……だから、今の告白は無しでいいよ!キスもノーカン!だから、忘れて…。」
笑って言ったものの、もう諦めて言った告白。結果なんてわかっていて、覚悟していたはずなのに涙が止まらなく流れた。
勇「朱鳥……ごめんな。」
そう言うと勇くんは私を強く抱きしめた。
「!!?ゆ、勇くん!?」
勇「俺、今まで朱鳥は大事な幼馴染みで小さい頃から俺が守ってやらなきゃって思ってた。……けど、今ので気づいたんだ…俺は、朱鳥が好きだからこんなに長い間守ってあげたいって思ったんだって。幼馴染みとかマネージャーじゃなくて女子として、……まだ、間に合うなら俺と付き合わね?」
強く抱きしめられて暖かさを感じた。
そし勇くんの言葉が私にとってどんなに嬉しいものだったか…。
「間に合うも何も……私はまだ、勇くんのとこ諦めきれずにいるんだもん……いいに決まってるよ……!!」
私は笑顔で答えた。
「ごめんな。気づいてあげられなくて。…好きだよ、朱鳥。」
-私の中のヒーローへ-
END