第75章 私の中のヒーローへ〈金田一勇太郎〉
*朱鳥
「あ…!」
朝、私は前を歩くその見慣れた後ろ姿を見つけて走り出した。
「おはよう!勇くん!!」
そして勢いよく飛び付いた。
勇「うおっ!!?…ってなんだよ朱鳥かよ。驚かせんなよ…。」
彼は一瞬驚いたが私だとわかると呆れたように言った。
「えへへ~いいじゃん別に~!」
勇「ったく…。」
私は彼…勇太郎とは幼馴染みでずっと片想いしている。
小さい頃から私を助けてくれて、私の中では誰よりもヒーローみたいでカッコ良くて、ずっと好きな人。
ただ、幼馴染みである関係が続きすぎてなかなか正直に気持ちを伝えられないでいる。
国「朝から元気だね黒羽さん。」
勇くんの隣を歩いていた国見くんが眠そうにそう言った。
「国見くんもおはよう!だって毎日忙しくて、疲れてるんだから、気持ちぐらいは明るくしておいた方が良いじゃん?」
私がそう答えると
勇「つか、早く降りろよ。歩けないだろ。」
と少し迷惑そうに言われて私は渋々勇くんの背中から降りた。