第72章 強くなりたくて……〈岩泉一〉
そんな日が何日かたった時…。
もしかしたら、それが限界だったのかもしれない。
いつものように自主連で、外を走ろうとしたとき。
一「おい、朱鳥!」
「…一…。何どうしたの?バレー部は部活終わったの?徹は?」
呼ばれて振り向けば、一が立っていた。
一「あぁ、今な。あいつは先帰った。だからお前も今日はそれぐらいにして帰るぞ。」
そう、一は私の腕を掴んで言ったけど、私は…。
「私は少し走ってから帰るよ!一は先帰ってていいから!」
その手を払った。
一「お前、最近無理してるだろ!」
そして走り出そうとした時、一の少し強い言い方に足を止めた。
「……そんなこと……ないよ。」
正直、一が起こっている気がして今度は振り向くことができなかった。
一「そうか?最近授業中ずっと寝てるし、フラフラして、転びそうになってるだろ?ちゃんと体休めてねーじゃねーの?!休むのも大事だってお前だって知ってるだろ?」
一が言っていることが正しいことくらいわかってる。だけど私は、必死になり過ぎていた。
「………今のままじゃダメなんだよ……今の私じゃ、次も負ける……。」
一「だからってな……。」
「一さ、中学のとき徹に言ったんでしょ?"6人で強い方が強い"って……でもバドはさ、コートでは1人なんだよ。勝つも負けるも自分次第……だから、負けないためには私自身がたくさん練習して強くならないといけないの……私はもう……負けたくない…!!」
そう言い終えると、声をあげて興奮したせいか、最近頻繁に起こる立ちくらみが私に襲ってきた。
一「朱鳥…!!」
咄嗟に一が私の腕を掴んでくれたから、足からストンと座り込んで、ケガはしないですんだ。