第49章 バカに恋して〈田中龍之介〉
龍「……悪い。………俺、鈍感で。………朱鳥の気持ちも、俺の気持ちにも、気づかなかった。」
「……は?…"俺の"…」
私はその一言に見ずらかった龍の顔を見た。
龍「あーー!鈍感な女だな!!俺も、朱鳥が好きだってことだよ!!」
その時は私は疑いしかなかった。だって…。
「……なに言ってんの?……清水先輩は……?」
あんだけ"潔子さん、潔子さん"言ってたから。
龍「潔子さんは……確かに好きだけど…。」
「ほらっ!!言ってること意味わかんないんなだけど!!」
龍「だから!!!潔子さんは好きだけどそう言うのじゃなくて、俺が一番欲しいのはお前だって言っていってんだよ!!!」
「……っ!何それ……。結局意味わかんないんだけど……。」
龍「うらせーな……!俺だってわかんねーよ。」
「でも………嬉しい…。」
言ってることはすごくめちゃくちゃだけど、顔を真っ赤にしている龍のその言葉はすごく胸に響いて、泣けるぐらい嬉しかった。
龍「…。ホラっ立ってて。体育館戻るぞ。」
龍はグッと引っ張って私を立たせた。
「……うん。」
私たちは二人でゆっくりと歩き出した。
体育館を目前にすると足が重く感じた。
「はぁ……何か戻りづらいな……。皆に聞かれちゃったし……。」
龍「そんなの、俺だって行きにくいつーの!!……けど、何か言われたら俺が守ってやる!!!」
「あは、ありがとっ!!」
私は少しだけど……龍が頼もしく感じた。
-バカに恋して-
END