第49章 バカに恋して〈田中龍之介〉
*朱鳥
アタシには好きな人がいる。
それは──。
「朱鳥、ホラ買ってきてやったぞ焼きそばパン!!」
と、いきなり後頭部に焼きそばパンが当たる。
「いたっ!ちょっと投げないでよ龍!!」
龍「人をパシらせといて文句言うなよ!つーか大した痛くねーだろ!?」
「……そうだけどさ……。」
この、田中龍之介。
小さい頃からの幼馴染みで、いつも同じクラスになる腐れ縁。
こんなハゲでバカのどこに惚れたかいまだに不明。
あっちだってアタシがこんな思いを抱いてるなんて思ってないだろう。
きっとアタシは妹か友人としか感じてないに決まってる。
それに、
龍「そんなんじゃ、潔子さんみたいになれねーぞ!」
「いいですよー!どうせ、なれないから!」
一日一回以上は聞くこの名前。
同じバレー部のマネージャーで私にとっても憧れの先輩。
3組の西谷といっつも清水先輩のことで騒いでいる。
だから、半分諦めている。
だって…
あんなに美人な先輩に私が勝てるわけ無いじゃん。