第40章 勘違いと恋〈金田一勇太郎〉
*勇太郎
「勇くん~おはよう!」
その声に振り向けば幼馴染みの朱鳥が
ぴょんぴょんと跳ねるように走ってきた。
勇「あ?あぁ朱鳥かぁおはよう……って危ねぇ」
「えっ…?わぁっ!」
注意したのもつかの間
足を小石につまずいて
転んでしまった。
「うぅ…。」
勇「おい、大丈夫か?ほら、これ使え。」
俺は朱鳥に駆け寄り鞄から絆創膏を渡した。
「ありがとう勇くん!でも絆創膏持ってるとか意外と女子力あるんじゃないかな?」
勇「誰かさんがしょっちゅう怪我するから持ち歩いてんだよ…。」
「アハハ…ごめーん。」
勇「ったく…ほら行くぞ。」
こいつは昔からおっちょこちょいで
落ち着きがなくて、注意力が欠けていた。
そのせいで怪我がたえない。
だからなのかこいつの親から俺は
面倒を見てやるように言われてきた。
俺もこいつのことは妹のような存在だった。
小さくて、子供っぽくて
同い年には見えなかったし。
だけど少しずつ歳が過ぎるごとに
朱鳥は綺麗になって
子供っぽかったのが今では
普通に女子高生に見れる。
しかも意外とモテるらしく
俺は徐々に心を奪われていた。