第37章 恋の実りは風邪を通して〈花巻貴大〉
貴「おい、朱鳥、起きろって…!」
「んー……。」
朱鳥は目を擦りながら起きた。
貴「お前、何で俺の腕の中で寝てんだよ?」
「何でって……貴大が私のとこ腕引っ張って抱き締めたんじゃん…。」
貴「は?マジで?」
「もう…せっかく毛布かけてあげようとしたのに…。風邪悪化しちゃったよ……。」
そう言って腕を擦りながら咳をした。
貴「……悪かったって……。今日も俺が看病してやるか許せって。」
俺は近くに落ちていた毛布を朱鳥にかけた。
「ダ、ダメだよ!また部活休むことになるじゃん!」
貴「ん。でも大好きな朱鳥とこほって置けないだろ?」
自然と出たその言葉。
少し恥ずかしさはあったけど後悔はなかった。
「っ……貴大……。うん、ありがと。私も好きだよ。」
朱鳥はそう言ってほほえんだ。
だけどあんまり驚かなかった。
たぶん前々から朱鳥の気持ちはわかっていたから。
貴「その代わり俺が風邪引いたら看病してくれよ?」
-恋の実りは風邪を通して-
END