第26章 桜日和 <赤葦京治>
「京治……。」
俺が歩み寄ると少し悲しそうに…だけど笑って言った。
「担任から聞いたよね…?私が転校することになったって……。
ホントはね1週間前に日本を出る予定だったの。だけど、どうしても今日京治に謝りたくて親に頼んで近くのアパート借りてたんだ。
ゴメンね!?約束守れなくて?」
京「…。」
「……やっぱ怒ってる…よね?一緒に頑張ろうって言ったのに私転校しちゅうんだもん。
本当にごめんね…。」
黙ってる俺を見て肩を落として謝った。
京「違う。約束とか転校とか仕方ないだろ。
俺が怒っているのは何で今まで黙ってたのかってこと。連絡もくれないしずっと心配してたんだから。」
「……ごめん。
引っ越しの準備とかいろいろ忙しくて………。
それに…京治に会ったら泣きそうにだったから。もっとここに居たいって思っちゃうから…。」
朱鳥の目から少しずつ涙が流れた。
「あ…ダメだね…。…泣かないって決めてきたのに…勝手に涙が出ちゃう……。」
徐々に溢れ出す涙を服の袖で拭いた。
そんな姿を見ていられなくて俺は朱鳥を抱き締めてた。
「…うぅ…私……別れたくない…ずっとこれからも京治といたかったのにっ……!」
朱鳥は声に出して泣き出した。
俺は何も言えずただ優しく朱鳥の背中を擦ることしか出来なかった。