第26章 桜日和 <赤葦京治>
―7年前―
*京治
志望校である梟谷学園に受かり始業式を向かえた。
新しい学校に向かう途中で俺は足を止めた。
街中の風景に紛れて立つ公園の1本の桜の木。
その大きさかなのか
それとも綺麗なピンク色の花が満開だかなのかはわからないが
だだ通り過ぎる人達の中で俺は何故かその木に心を奪われた。
「君も桜が好きなの?」
眺めていた俺の背後からこれが聞こえた。
振り向くと
ポニーテールで同じ梟谷の制服を来た女子が立っていた。
京「あ…いやそういうわけじゃ…。」
「私も好きなの桜!」
彼女は俺の話を聞かずに話続けた。
「桜ってさ出会いと別れを知らせる花だと思うんだ。
だってそうでしょ?
桜が咲くときに人は出会いと別れを繰り返すんだから。
そしてきっと桜の木の下で出会ったは人は特別な存在になると思うの。
あとね
私は昼に見る桜も好きなんだけど夜桜も好きなの。
"夜の桜は人を喰うから夜には近寄るな"なんて噂もあるけど、そんな少し不気味なところも桜の魅力じゃない?」
楽しそうに言う彼女は風に静かに揺れる桜がすごく似合っていた。
「……ってごめんなさい!!
私ばっか話しちゃって…!!」
ハッと我に帰ると俺を見て謝った。
京「いや…本当に桜が好きなんですね。」
「……うん!大好き!!」
彼女は優しく微笑んだ。
「ってアレ!?その制服……梟谷の…。もしかして先輩でしたか!?私…今年から通うことになってて…わからなくて……。
えっと…その………!!」
今さら俺が梟谷の制服を着ているのに気づくと慌てて敬語で話し出した。
京「あ、いや俺も今日から梟谷の1年だから。」
俺も彼女が同級生とわかり少し話しやすくなった。
「……あ、そうなんだ。よかった。
じゃあさ一緒に行かない?…えっと……」
京「俺は赤葦京治っていいんです。」
きっと名前がわからないのだと思って俺は名前を教えた。
「ごめんごめん…!!赤葦くん。
そう言えば私も名乗ってなかったね…私は黒羽朱鳥って言うの。よろしくね!」