第22章 忘れられない誕生日に…。 〈黒尾鉄朗〉
*朱鳥
「はぁ…遅いな…クロ先輩…。」
夕暮れの教室に1人…
私は自分の席に座っていた。
学年が違うからクラスで会うことはないし、最近はクロ先輩は部活とか進路のことで忙しいみたい。わたしも塾とかもあってマネージャーをやりたくてもやれない状態。
今日が誕生日の私のために
一緒に帰る約束をしてくれた。
そして今、私は彼を待っていた。
だけど時計を見ると針は5時を指していた。教室は徐々に夕日の光でオレンジ色に変わってる。
「『今日は朱鳥の誕生日だし部活も早く終わるから一緒に帰ろうぜ』
……って言われたから待ってたけど部活長引いてるのかな…。
もう…帰っちゃおうかな…。
でも待ってろって言われたし…。」
そんなことを考えているうちに私は居眠りしてしまった。
最近は何かと忙しかったし、
暑い昼間と違って夕方はだいぶ涼しくなって窓から入る風が気持ち良かったせいだ。