第20章 アップルパイと君 〈研磨〉
*研磨
一切れを食べ終えてから朱鳥が口を開く。
「でも本当、よかった。」
研「…何が?」
「研磨がバレー部のみんなと仲良くやってるみたいで♪」
研「…。」
「去年は先輩とかとうまくいってなかったみたいで心配だったんだ。でも今は皆から頼りにされてるし仲良くやってるから安心した!その髪もなんか皆と馴染んでるし♪」
自分のことのように嬉しそうに喜ぶ朱鳥の笑顔を見て俺はずっと押さえていた気持ちを押さえきれなくなった。
ギュッッ
俺は朱鳥を後ろから抱き締めた。
「!!?えっ…け…研磨!?…どうしたの?」
研「……朱鳥……この髪どう思う?」
「へ?ど…どうって…?」
研「好き……?それとも嫌い?」
「…す…好きだよ…?」
研「俺のことは?」
「へっ!?…そ…そりゃ…好きだよ…?研磨は大切な幼馴染みだもん…。」
研「…そうじゃなくて…異性として…好き?」
「…え…?」
それから朱鳥は口を閉ざしてしまった。