第2章 心を閉ざした君 〈及川徹〉
少し息を切らして体育館に着くと体育館の廊下にあるベンチで朱鳥ちゃんは1人何か書いといた。
少し近づくと足音に気付いた朱鳥ちゃんがこっちを見た。
「…及川さん…どうしたんですか?帰ったはずじゃ…。もしかして忘れ物でもしましたか?」
及「あー…それもあるけど……今日は朱鳥ちゃんと話してみたいから戻ってきたんだ。」
「……何を言っているんですか?私より楽しい話ができる女子なんて及川さんの周りにたくさんいるじゃないですか。」
黙々とまた何を書き始める朱鳥ちゃん。
なかなか手強い。
及「さっきから何書いてるの?」
朱鳥ちゃんの隣に座って書いているノートを見た。
そこには今日やった練習メニューやコーチが言ったアドバイス、朱鳥ちゃん自身が思った感想らしき言葉。
遅刻の欄に俺の名前があったがまぁ…それは見なかったことにした。
「バレー部の日誌みたいなものです。」
及「スゴいね!!マネってこんなこともするんだ!」
「いえ…これは私が自主的にやっているだけでマネの仕事とは違います。…ところで帰らなくていいですか?」
及「だから〜朱鳥ちゃんと話したいって言ってるでしょ?」
「話なら部活中にしています。」
及「そうじゃなくて…もっと朱鳥ちゃんの事が知りたいだ。」
「…………別に私のことなんて知らなくても………。」