第16章 だって好きなんだもん!! 〈夜久衛輔〉
*朱鳥
ただ夢中になって走って、お兄ちゃんに言われたことが辛くていっぱい泣いたせいか…疲れて私はベンチに踞っていた。
辺りは真っ暗になっていて、ベンチ横の街灯だけが私を照らしていた。
「…お兄ちゃんの…バカ……。」
自分でもわかっていた。
一生お兄ちゃんに頼ってばかりはいられない。
もう小学生の子供じゃないんだし、
自分を変えなきゃ…って。
それでもいつも味方でいたお兄ちゃんに言われたのはショックだった。
そんなときだった…
夜「朱鳥!!!」
私を呼ぶ声がして振り向くと兄ちゃんの姿があった。
私はお兄ちゃんの方へ走り、
お兄ちゃんの胸に抱きついた。
そして
ただただ謝った。
「ごめんなさい……私…いっつもお兄ちゃんに迷惑かけて………。自分でも変わらなきゃいけないってわかってて…でもどようしよもなくて………お兄ちゃんと大嫌いとか言って……本当にごめんなさい…!!」
涙で視界は霞むし、ちゃんとした言葉になってないけど
お兄ちゃんの姿を見て心の奥で思っていたことを言った。