第2章 心を閉ざした君 〈及川徹〉
「…どうしたんですか?及川さん。中に入らないですか?」
その声に俺は振り向いた。
そこに無表情で立っているマネの朱鳥ちゃんがいた。
及「朱鳥ちゃん!!聞いてよー!!今来たら岩ちゃんに追い出されたんだよ〜。朱鳥ちゃんからも何とか言ってくれない?」
「……。なんで今頃になったんですか。」
及「朱鳥ちゃんはどうしたの?いつもは早く来て準備してるのに。」
時計を見るといつもの部活開始から一時間も遅れている。
「私は委員会があったので…。岩泉先輩には伝えてあります。」
及「えっ!?なんで主将の俺じゃなくて岩ちゃんなの!!?」
「伝えようと先輩のクラスに行ったんですけど、先輩がクラスの人たち主に女子生徒に囲まれていて言いにくかったところに岩泉先輩が来たので。………で及川先輩は何故今頃?」
顔色一つ変えないで答えると再び質問か戻ってきた。
及「俺も委員会があって…。」
「及川先輩はなんの委員会にも入ってないと岩泉先輩言ってましたけど?」
なんでそんなことまで教えてるのさ!!……と俺は岩ちゃんを恨んだ。
及「…そうだ!ホントは先生に呼ばれていたんだ。」
「…。先生の名前は何ですか?聞いてきます。」
及「えっ!?ちょ…ゴメンゴメン!!ちゃんと本当の事言うから!!」
校舎へ向かおうとする朱鳥ちゃんを慌てて止める。
仕方なく本当のことを話すことした。
及「…実は部活に行こうとしたら女子の大群に捕まって…。相手してたら一時間も経ってたんだ。」
「それは及川先輩が悪いです。私にはどうしようもないです。失礼します。」
そう言うと、朱鳥ちゃんは体育館に入るとこっちを見ずに戸を閉めてしまった。
うん。知ってた。本当のことを話せば朱鳥ちゃんがそうなることぐらい。
その後俺はなんとか岩ちゃんに許してもらって部活に参加した。