第12章 叶わぬ恋でも…。 〈月島蛍〉
*蛍
僕は実の双子の妹の朱鳥が好きだ。
いつからなんてそんなの覚えてない。
人付き合いが苦手な朱鳥は昔から僕にくっついて歩いてて僕はそんな朱鳥をずっと守ってきた。
そんな朱鳥でも近所に住んでいる影山には心を許しているようだった。
影山が中学に入り"孤独の王様"になっても朱鳥は影山のそばを離れなかった。
きっと幼馴染みとしてほっておけなかったんだと思う。
けどそんなに優しく一緒にいたらそれ以上の感情が芽生えてしまう。
現に影山が朱鳥を幼馴染み以上の思いを寄せているとわかった
朱鳥は鈍感だからわからなかったみたいだけど…。
そして昨日
朱鳥と影山が部活後に何か話しているの見かけた。そして朱鳥に影山が強い口調で何か言って朱鳥が涙を流した。
咄嗟に朱鳥を守るように割り込んだ。
これはあくまで想像だが影山は朱鳥に思いを伝えたのだと思った。
その夜、朱鳥が部屋に来たからその事について聞いたらやっぱり影山に告られたようだった。
それを知り僕は朱鳥に自分の気持ちを伝えた。
朱鳥は驚いた様子で部屋を出ていった。
だって仕方ないじゃん。
妹としてじゃなくて一人の女子として朱鳥が好きなんだから。
朱鳥を誰にも渡したくない。
それこそ朱鳥を泣かせるような自己中で横暴な王様の影山には……。
たとえそれが血の繋がった実の双子の妹で叶わないことだとしても。