第9章 風邪を引いて… 〈夜久衛輔〉
*朱鳥
そのあと
また横になった。
やっさんっ手を繋いで少し話をした。
「ねぇ…やっさん…。」
夜「ん…?」
「あのさ…やっさんが最初来て、私が薬飲んでからさ…今起きるまでの間に私一回起きなかった?
なんか……やっさんに変なこと言った気がするんだよね…。
でもそのあとのやっさんの言葉がすごく安心した気がしたんだ…ような…。」
*夜久
覚えてないんだ。
俺の制服引っ張って言ったこと。
まぁ…熱あったし仕方ないだろうけど…。
夜「別に何もなったけど?夢でも見てたんじゃないか?」
「…そう…だったのかな?」
夜「そうだって。ほら、もう少し寝てろ。明日も学校行けなくなるぞ?」
「…うん。」
朱鳥は目をつぶって眠りについた。
俺は何があったかは教えないことにした。
あのとき言ったことは普段自分の気持ちを言わない朱鳥の本当の想い。
もしそれを朱鳥が知ったら余計自分に素直にならなくなってしまうと思ったからだ。
そういうやつなんだ。昔から…。
だから自分にさえ本当の気持ちを隠している朱鳥を
本当の気持ちを知っている俺だけは守ってあげようと思った。
そう誓うように俺は眠った朱鳥の額にキスをした。
-風邪を引いて…-
END