イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第11章 政略
「なっ……!!!」
驚きのあまり、言葉を失うサラ。
いつも穏やかなはずの朝食の席に
張りつめた空気が流れた。
ジルは眉一つ動かさず
淡々と話を続ける。
「先ほどシュタイン国王、
ゼノ様から
正式に書状が届きました。
プリンセスをシュタイン国に迎え入れたいと。
……婚姻を前提として」
驚きのあまり困惑したサラは
ジルの言っている言葉の意味が
良く理解出来ない。
「……あの……それは、ゼノ様と…?」
ジルは冷静な眼差しでサラを見つめた。
「この婚姻を機にシュタインが
国交を開く可能性があります。
大国シュタインと関係を結ぶ事は、
ウィスタリアにとって、
とても有益なのです」
困惑しながらも、何か言わなければと
必死に言葉を探すサラ。
「だからと言って…その、
あまり良く知らない男性と婚姻なんて…
それに、プリンセスの役目である、
次期国王候補選びは…? 」
ゼノとは
一度だけダンスパーティーで踊った事がある。
若いのに大国を治めているだけあって
とても聡明な印象を受けた。
きっと素晴らしい方なのだろうは思うが……
よく知らない事に変わりなかった。
プリンセスになる以上、政略結婚はあるかもしれないと
思ってはいたが…。
「プリンセス。
貴方がプリンセスになられて
どれくらい経ちますか?」
「…半年ほどです」
「次期国王候補選びを
積極的になさっているなら
私も何も言いません。
が
近頃の貴方は
どうもそのように見えません。
国王様のお加減も悪く
いつご崩御されてもおかしくない状態です。
残念ながら
もうあまり時間がないのです。
もし
既に、心に決まった方がおいでなら
このお話はお断りしますが」
「……………」