イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第8章 円舞
「サラ様、
そろそろ休憩にする?」
黄色い花柄の
上品なティーセットをトレーに乗せ
にっこり笑ったユーリが扉から戻ってくる。
「わぁっ!嬉しいっ!」
丁度一通り踊り終えたサラは
ぱっと表情を明るくして
小走りにユーリに近づいた。
(いつもながら……)
そう思いながら笑みを深めるユーリ。
カウチソファの前の小さなテーブルに
ティーセットを並べると
こぽこぽと音を立てカップに注ぐ。
ローズマリーの香りがふわりとして
サラが目を輝かせて紅茶を眺めた。
(くすっ、そんなに嬉しいの?)
素直なサラの反応が
またユーリの心を引き寄せる。
ソファに座ったサラが
ふっとユーリを見上げた。
「ん?どうしたの?」
ユーリが首を傾げると
サラは恥ずかしそうにぱっと目を逸らし
「いつもありがとう。
ユーリも一緒に飲まない?」
と告げる。
執事として当然の仕事をしているだけだが
そうやって
毎回かけてくれる言葉が嬉しい。
周りの誰をも気遣う優しさ。
サラに思いを寄せる理由の一つを
今日も見ることが出来て
ユーリは柔らかい空気を漂わせた。