イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第26章 【禁断の果実】~第3章 踊る~
その日の午後、
ウィスタリア城には
ネープルス国から王族や貴族が招かれて
大きなパーティが開かれていた。
サラが
シャンデリアの煌めく
広くて明るい会場に入ると、
その場にいた人々が、
一斉に視線を送り
口々に言う。
「まあ、なんて初々しいお二人なのでしょう」
「お似合いですわ」
サラは、隣に立つ、
正装した男性をそっと見上げた。
[…………機嫌わるそうだな
………………アラン…]
すると、視線に気づいたアランが
軽く眉を寄せてサラを見下ろす。
「………なに」
『ううん、なんでもない』
[やっぱり機嫌悪そう。
嫌なんだろうな……]
端整な造りの顔に
ルビーのように真っ赤で深い瞳。
すらりと引き締まった身体は
白い礼服を美しく着こなしていた。
誰もが見惚れるような出で立ちのアラン。
ただでさえ目立つというのに
プリンセスの隣に立っているので
今日は
余計に人の目を引いている。
もともと、そういう事を嫌っているように見えるアランに対して、
サラはなんだか申し訳ない気分になった。
サラがそっと息を吐いた時
ネープルス国王が、
にこにこと、人の良さそうな笑みを浮かべながら
二人に話しかけてきた。
「久しいな、アラン殿」
「遠いところ、お越し頂き、ありがとうございます、陛下」
アランが、品の良い笑みを浮かべ
恭しく頭を下げる。
「はっはっはっ、
そのように、畏まる必要はない。
これからは国を統べる者同士、
対等な立場でと考えておる」
「ありがとうございます。
しかし、私はまだ、
正式に戴冠したわけでありませんので」
「ああ、そうだったな。
これは失礼をした」
凛として隣に立つアランを
サラは感心しながら見上げた。