第2章 もう一つの魔法の世界
『逃がすか!』
その日アギトは評議院直々に討伐の依頼を命じられていた。
<ナルガクルガの討伐>だった。
固い刃翼や尻尾を武器に獲物を捕らえる月迅竜と恐れられている危険な生物。
本物の竜ではないが、迅という字がある様にナルガクルガはとても素早い。
『"音速の一撃"(シルファリオン・ショット)!!』
しかし音速の攻撃程ではなく、
『"邪竜の鉤爪"!!』
強さも邪竜には敵わなかった。
今のアギトの攻撃を説明すると、"音速の一撃"で逃げ回っていたナルガクルガの翼を打ち抜き落下させた。
素早く換装で黒銀を仕舞い、"邪竜の鉤爪"で止めを刺した。
『はふー、依頼完了! すばしっこかったなぁ』
評議院を困らせていた月迅竜も、妖精の尻尾の邪竜には及ばなかった。
しかしすばしっこいが為に探すのに苦労したのも事実。
依頼を受けてナルガクルガを見つけるのに二週間もかかってしまったのだ。
とにかくギルドに帰って酒飲みてぇー。
もう夜だからホテルかどっかに泊まろうか。
ところでコレ…評議院に持って行った方がいいのか?
用心深い依頼主だと「討伐したモンスターを見せろ」と言うから一応持って帰ってたけどさ。
評議院ではそこまで追求されたことねぇんだよな…信頼されてるって事かな?
まぁ一応持って帰ろうか。