第1章 幼少期と日常
「私が初めてアギトちゃんに会ったのは評議院に呼び出し食らった時だったわ
貴方の所に入ってなかったらウチに貰いたかったんだけどぉ~、妖精の尻尾に入ってるって言われて諦めたわぁ~
で、評議院の人がアギトちゃんに何か渡してたの
よく見るとびっくり、聖十大魔導の称号だったのよ!
私もびっくりしてたんだけど、アギトちゃん、何か評議院に言って去ろうとしてたの
それを止めようと必死になっていた評議院に向かって『俺には必要ない』とか言って称号を叩き折ったのよ
それ見てもう目が飛び出るかと思ったわぁ
そして帰る時に私達を見て『マスターには黙っていて欲しい』って言われてたの、ゴメンネェ~」
私もマスターも驚き、言葉を出せずに居た。
聖十大魔導とは大陸にいる優秀な十人の魔導士に与えられる称号。
マスターもその一人。
という事はマスターと同じ力量の持ち主となる。
私はただただアギトを見た。
その姿は相手には恐怖でしか無いだろうが、私には美しく見えた。
銀髪が風に靡く。
気付けば闇ギルドの連中は跡形もなく消えていた。
皆アギトを恐れ、逃げていったのだ。
昔もそうだが…益々強くなっている。
私は拳を握り締め、心の中で決意を固めた。
誰にも聞こえない程の小さな声で呟いた。
(必ず…追い付く)