第4章 再会と離別を同時に
再び連合軍。
真っ直ぐ向かってくる二人をブレインは冷めた目で見やり、短く「やれ」とだけ呟いた。
「OK」
「「な!?」」
ブレインの命令に答え、一瞬で二人の背後をとったのはレーサー。
二人が振り返る時には既に攻撃された後だった。
「「ナツ! グレイ!」」
「…え?」
自分の声が重なって聞こえ、隣に目を向けると自分と全く同じ姿をした者がいた。
ルーシィが二人いる様に見える。
「ばーか!」
「な、何これー!?」
自分と同じ姿をした者に攻撃され、混乱しているルーシィ。
それを妖しい笑みを浮かべながら眺めているエンジェル。
リオンとシェリーもホットアイの能力に捕まり、身動きが取れない。
トライメンズ目にも止まらぬ速さでレーサーに攻撃される。
「速い…速すぎて、見えない…っ」
「速ぇことはいいことだ」
「舞え! 剣たちよ!」
天輪の鎧に換装したエルザは、無数の剣をコブラに向ける。
対するコブラは余裕の笑みを浮かべ、微々たる動きで向けられた剣全てを避けた。
「何!? 太刀筋が読まれている!」
驚いている間もなく、エルザの背後にレーサーが現れる。
だがエルザは"飛翔の鎧"に換装してレーサーの攻撃を躱した。
しかしホットアイに足場を崩されてしまい、次のレーサーの攻撃は避けられなかった。
「聴こえるんだよ、その動き」
「!?」
いつの間に近付いたのか、コブラの蛇に腕を噛まれた。
「そいつの毒はすぐには死なねぇ…苦しみながら息絶えるがいい」
「うあっ!」
毒のせいかエルザは立つ事が出来なくなった。
この短時間で、連合の魔導士達は傷だらけになってしまった。
「強ぇ…」
「おのれ…」
みんな顔を上げるのがやっとだった。
六魔将軍は勿論無傷で余裕な笑みを浮かべていた。