第4章 再会と離別を同時に
「それでも、あなたは愛せない」
「あたしも嫌いよ!」
「もっと、もっと私にパルファムを!」
「来るな! 斬るぞ!!」
エルザの方はと言うと、一夜がぴょんぴょんと飛び跳ねながらエルザに近付いてきていた。
「リオン」
「グレイ」
「かかってこいやー!!」
敵意を剥き出しにし、三つのギルドが互いに構え合う。
いつ乱闘が起こってもおかしくない状況。
屋敷内に張り詰めた空気が漂った。
…が、
「やめぇーい!!」
「「「!?」」」
突如響き渡る、ガンッという音と威圧のこもった静止の声。
全員がバッと声の方に振り返ると、一人の男が威圧を放ちながら立っていた。
「ワシらは連合を組み、六魔将軍を倒すのだ 仲間内で争ってる場合か!」
「ジュラさん…」
「ジュラ?」
聞き覚えのある名前に首を傾げるエルザ。
ギルド同士の衝突を一声で止めたこの男は蛇姫の鱗のエース、"岩鉄のジュラ"。
その実力は聖十大魔導に認められる程でギルド外でも有名な人物だ。
ジュラは一度屋敷内の者たちをぐるりと見回し、ゆっくり口を開いた。
「これで三つのギルドが揃った 残るは化猫の宿(ケットシェルター)の連中のみだ」
「連中というか…一人だけだと聞いてまぁす」
「一人だと!?」
一夜の言葉にエルザが驚く。
あのバラム同盟の一角と戦闘を交えるのだ、人数は多いに越したことはない。
妖精の尻尾はハッピーを入れ五人。
青い天馬は四人。
蛇姫の鱗は三人、しかも聖十の称号を持つジュラがいる。
しかし、残り一つのギルド、化猫の宿からはたった一人しか選出していないという。
「こんな危ねぇ作戦にたった一人だけをよこすってか!?」
「ちょ、ちょっと…! どんだけヤバイ奴が来るのよー!?」
そんな時、こちらに向かって駆けてくる小さな足音が聞こえた。
「きゃあっ!」