第2章 もう一つの魔法の世界
宮中を出た俺達は一番近い山を登っていた。
いや、飛び超えていたの方がいいか?
高い場所の方がいいし邪魔が来ないだろうって事らしい。
「此処にしよう」
ジェラールが立ち止まったから俺も立ち止まった。
杖の一つを取り出して地面に叩き付けた。
すると俺達の体が浮かんでいった。
「未練はないな」
『今更かよ 魔法発動する前に言えよな』
「そうだったな」
『まぁ俺も未練があればとっくに言ってるけど』
強いて言えばみんなにちゃんと別れの挨拶言う事が出来なかった事かな。
でも紅炎の言う通りだから仕方ない。
俺達の体が上に上がっていくにつれて目の前が白くなっていった。
勿論雲の中に入ったからなんてワケじゃねぇのはわかる。
もう一度、俺は辺りを見回した。
『ありがとな、みんな』
そう呟くと、完全に目の前が真っ白になった。
(この声がみんなに届くといいのに…)