第2章 もう一つの魔法の世界
シャンバルさんには要件を説明して、アリババくんには用事があるとだけ言って俺は指定された場所でムーさんを待っていた。
待ちながら俺は何故呼ばれたのかを考えていた。
勿論顔はポーカーフェイスだが内心冷や汗ダラダラだ…。
本当に何で?
俺悪い事したっけ?
これで紅炎の迷惑になったら…あー俺はどうすればいいんだ!?
「貴方がアギトさんですか?」
『あ、あぁ…』
金色の鎧みたいなのを来た赤髪の男に声をかけられた。
ファナリス兵団って言ってたからこの人が?
「急にお呼びして申し訳ない 私はファナリス兵団のムー・アキレウスと申します」
『どうも 俺は何の用で呼ばれたんでしょうか?』
「心配いりません シェヘラザード様が貴方とお話がしたいと申しまして」
一国の司祭者様が態々呼び出すんだぜ?
不安になるに決まってるだろ…。
もしこの場にナツがいたら汗ダラダラでハッピーと騒ぎ出すんだろうなぁ。
そんな事を思いながら俺はムーさんの案内に従ってその場を後にした。
ムーさんの後を付いて行く事十数分。
俺は城とは違う綺麗な建物へと連れて来られた。
煌帝国とは違って煌びやかなワケでも華やかなワケでもなく、ただ綺麗だなと思った。
そのうち応接室みたいな部屋に着いた。
俺はソファーに座る様に促された。
「シェヘラザード様、彼を連れて参りました」
俺が入って来た方とは違う扉から誰かが入って来た。
長い金髪で幼女の様な姿。
見覚えのある姿に思わず言葉が漏れてしまった。
『…メイ、ビス?』
妖精の尻尾の初代マスター、メイビス・ヴァーミリオン。
見聞きした情報から適切な作戦を瞬時に立案する優れた指揮能力を持ち、その実力は"妖精軍師"の異名で呼ばれていた程。
そのメイビスに、なんとなく似ている気がした。
「どなたか存じませんが、私はシェヘラザードです」
『あ、すみません 知り合いに似てたもので』
声に出てたのか。
しっかりしろ俺、今迄のポーカーフェイスは何処へ行った。
にしてもこの人…シェヘラザード様だっけ?
ジュダルやアラジンくんに似た雰囲気だな。
…まさか、
『あのー、失礼ですが…貴女はマギですか?』
「その通りです」
うわーマジかよ。
じゃあ俺を呼び出した理由はもう明らかじゃん。