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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第2章 もう一つの魔法の世界


だが…


「…んなこと…」


「は…白龍?」



「そんなこと…無理に決まってるじゃないですか…!」


白龍は白瑛の言葉が理解出来なかった。
納得いかなかった。


「家族でも…こんなバラバラなのに…紅炎?
 アイツの綺麗事は…矛盾してますよ
 アイツのやってる事は、結局…力による他国の侵略じゃあないですか…」

「! それは違う…」

「バルバッドは!?」

「…えっ…!?」

「バルバッドや、黄牙の民の死者は?
 その家族が、ヘラヘラ笑って全部忘れて暮らせるとでも?
 姉上だって、黄牙の村を力尽くで占領したじゃないですか!」

「ち…違う!! 彼らは私の志に納得して…過去の恨みを消し去って…」

「そんなことは不可能だ!!」

「!!」



「恨みは消えない!! 恨んだ相手は…消すしかないんです!!」



『……』



恨みは消えない…か。



『(俺も、否定出来ねぇな)』



あの時俺があの研究員達を殺さなかったら、多分今も恨み続けてただろう。

いや、俺が殺すまでずっと実験を続けられてただろうな。

結局あの時の選択肢をどう変えても、何年たっても…

俺が研究員達を殺すという運命からは逃れられなかっただろう。


『(…運命、か)』


この世界は"運命"という単語一つに縛られる。

人が自らの運命を恨んだ時に起こるのを…"堕天"って言うんだっけ?

なら、もし俺がこの世界の人間だったら…

真っ黒なルフ…つまり"堕天"してただろう。



「やはり…今の貴方は…どうしてしまったの?」


絞り出した様な震えた声で白瑛が言った。


「貴方を信じないワケじゃない…けど今は…少し…時間を頂戴…ごめんなさい、白龍…」


白瑛が白龍から離れた。
多分自室に戻るんだろうな。


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