第5章 此に病める者あり
志摩君
「流石坊…!男やわ」
志摩君が、ワイシャツの下から何かを取り出し、組み立て始めた。
志摩君
「じゃあ俺は、全く覚えとらんので、いざとなったら援護します」
勝呂君
「おお!仕込んどったんか!」
志摩君が組み立てたのは、僧の持つ法具の一つの錫杖(キリク)。
そっか、志摩君も小坊主なんだっけ…暗記は苦手でも、戦う術は持ってるんだ。
神木さん
「む、無謀よ‼︎」
勝呂君
「……さっきまで気ィ強い事ばっか言っとったクセに…いざとなったら逃げ腰か。戦わんのなら引っ込んどれ」
神木さん
「………………」
勝呂君
「子猫丸は一章目から、俺は十一章目から始める。つられるなよ!」
三輪君
「はい!」
勝呂君
「行くえ」
勝呂君は座禅を組み、三輪君は正座し、目を閉じた。
三輪君
「“太初に言ありき!”」
勝呂君
「“此処に病める者あり…‼︎”」