第11章 Autumn編 B
「天音ちゃん、遅刻よ」
「月宮先生っ、すみません!」
場の空気は思いの外最悪で、小さな声で「なんだ来たんだ」と聞こえてくる。その声が、壱原さんであるのを知って、鼓動が早くなって逃げた出したい気持ちが生まれてくる。
周りの人たちの顔をしっかりと見つめて、堂々と声を張り上げた。
「ちゃんとやるんで、グループにいれてください!!」
勢いよく頭を下げた。騒然とする中、誰かの足音が目の前に迫る。これは、たぶん……。
「あたしのグループにいれてあげる、来なよ星織さん」
恐ろしい程、綺麗に微笑む壱原さん。
「ありがとうっ」
強く拳をぎゅっと握り、彼女のグループの輪の中へと足を踏み入れた。もうここからは逃げられない。
でもいいんだ、ちゃんと自分で選んだことだから。
「(そういえば……こうして自分で選んで行動したの、もしかしたら初めてかも)