第10章 Autumn編 A
「あんたがプリンセスとか笑わせないでよ。あたしはあんたとは違う。毎日努力してきた、ここに来るまでも常にずっと……。沢山メイクの勉強もした、どうすれば可愛くなれるのか。あんたみたいに、誰かが変えてくれるのを待ってるだけの女じゃないのよっ!」
がんっと大きな音を立て、壱原さんがベッドを蹴った。怖くて、どうしようもなく怖くて、涙が溢れて身体が震えて、わけがわからなくなった。
「ちょっと!! 何していますの!!?」
「ちっ……。覚えておいて、星織さん。これはまだ始まりにすぎないんだから」
壱原さんが遠ざかる。入れ違いになって、愛佳さんの姿が見えて更に涙が溢れた。
「え、ちょっ、星織さん!? どうしましたの? 何か、あったんですの?」
「うっ……ううっ、ひっく……」
「もう……泣いているだけじゃわかりませんわよ」
神様、神様、お願いします。
どうかもしいるのなら、私に逃げない強さをください。立ち向かう勇気をください。
守られているだけの自分が許せなくて、腹立たしくて、甘えていた……そんな自分が大嫌いで。いつも嫌いで、自分の好きなところなんて本当はなくて。
だから変わりたかった、そうすれば自分を好きになれるような……許せるような、そんな気がして。
「ごめんなさい、ごめん……なさいっ」
「……星織さん」