第10章 Autumn編 A
季節は変わり、夏の暑さはすっかり消えてしまった。同時に心地よい冷たい風が、肌をくすぐる。早乙女学園の所々に植えられている木々たちは、紅に変わり始め紅葉がとても綺麗だ。
そういえば、秋はアイドルたちの仕事スケジュールが多忙になっているらしく、別館周辺何処を歩いても参加者の女性たちしかほとんど見かけないような気がする。翔くんも忙しいのか、季節が変わったと同時に本当に見なくなった。
そのせいか、一つ問題が起き始めているらしい。
「あら、星織さん」
「愛佳さん! こんにちは」
「……貴方も呑気なものですわね」
「そうでしょうか? 涼しくなり始めたせいかもしれませんね」
「貴方も気を付けた方がいいですわよ。人気なアイドルのペアになると、それだけ反感を買いますわ」
「そうかもしれませんが、とりあえず今のとこも何もなく数ヶ月過ごしてきましたし、大丈夫だと思います」
「それは美風さんのお陰かもしれませんわね」
「え……?」
「何かあっても、助けてくれる人はいないってことを、知っておいた方がいいですわよ」
愛佳さんはいつになく真剣な表情で、そう告げると踵を返した。
「反感……」