第26章 夢の終わりはA
暫く経つと、テレビで愛佳さんを見るようになった。それと同時期に、藍くんの病室はもぬけの殻となった。どうしてなのか、何度シャイニング事務所の社長さんへ尋ねてみても、答えてはくれなかった。
藍くんはどうなってしまったのか……。
私は、あれ以来訪れることがなかった、彼と出会ったあの場所へと足を運んでいた。まるで、思い出の中にいる彼を探すように。
「懐かしいな……本当に」
あの日から、何もかもが始まって終わりを告げたのかと思うと、心残りが沢山ありすぎて、苦しくなる。
もしもあの時、あのコンテストの日、彼の傍に寄り添うのではなく、ぐっと堪えて舞台に上がっていれば何か変わっただろうか?
突如、携帯に着信が入る。
「誰……? ……っ!!? はいっ! も、もしもし!!?」
夢の終わりが、今ここにある。
人生にもしもなんて、きっとないけれど、例えばあの時こうしていればというところから、やり直すことが出来たなら。
私は強く願う。強く、そう、強く願う。
それはきっと、似て非なる物語。