第25章 不協和音の鼓動
「藍くんを守ってあげられるほど、強く……強くなりたい、ですっ」
「うん……」
「守られてばかりは、嫌なんですっ! 私も彼のために、何かしたいんです……っ。だけど、だけど彼は……っ」
「あの子は不器用だから、上手い守り方がわからない子だから。君を随分驚かせてしまったみたいだね。ごめんね」
「……っ」
何度も何度も思った。この人のために、藍くんのためだけに私はいつでも何かしたいと思える。彼のためなら、どんな無茶も潜り抜けて見せよう。どんなに難しいことにも、挑戦してみよう。
貴方がいたから、私は変わろうと思えたんだよ?
毎日、繰り返し貴方に恋をした。
貴方の笑顔がもっと見たくて、隣にいたくて。他の誰かじゃなくて、藍くんの隣に、私だけと望んで。