第3章 Spring編 A
「天音ちゃん……そこ、何度目?」
「す、すみません……月宮先生」
「他の子たちはとっくに次のパートへ移動してるわよ」
周りの女の子たちは、次のパートへ更に次のパートへとダンスを覚えこなし、進んでいく。私はというと、元々こういうのは得意ではなく……にしても、身体が思うように動かず、千鳥足になってもつれてしまう。
それを繰り返して、本日でもう何度目になるか……。この授業もそろそろ一週間を終えようとしていた。にもかかわらず、私は一人置いてけぼり。
『あの子、美風さんのパートナーらしいよ』
『え、あんな子が?』
『彼が可哀想……』
ぼそぼそと、けれどはっきりと私の耳に届く嫌な言葉。月宮先生が「はい、喋ってないでやる!」と声を投げかけると、女の子たちはすぐに練習へと戻った。
「天音ちゃん、何処が難しい? もしかして、ペース早いかしら? でも他の子は平気だしねぇ……」
「すみません。あの、頑張るので……もう少しご指導お願いしますっ!」
「ん、わかったわ」
それでも、月宮先生は少し困った表情を浮かべた。他の子の視線も痛い。早くも私は、それぞれのレッスンで浮き始めていた。