第23章 シンデレラ
「天音ちゃん。本番はどうするか、わかってるわよね? 今までの培ったものを、全部出し切ればいいのよ」
「とは言っても、コンサートみたいな感じになるんだとは想像も出来ませんでした。人前で歌わなくちゃいけないんですよね……」
「あら、不安?」
「いえ。別にそんなことはありませんよ! まぁ、多少色々と思うとこはありますけど……でも歌もダンスも一生懸命やってきましたし」
「うふふ。うたのプリンセス様って言うのは、単純に女性の魅力だけじゃダメよ。わかってるわよね? だからこその、一年間のプログラム。理解できてないとは、言わせないわよ?」
「藍くんが隣にいるのなら、私は頑張れると思います」
「その調子よ、天音ちゃん!!」
どんっと背中を強く叩かれて、本当に痛い。月宮先生の笑顔に見送られ、私はドレス姿で会場まで向かう。すれ違う人たちがちらちらとこちらを見つめているけど、やっぱりこのドレス……目立つよね、そりゃそうだよね!!
すれ違い様に、肩が誰かとぶつかる。
「いってぇな!!」
「ひっ! ご、ごめんなさいっ!!」
「……あ? お前、確か……」
オッドアイの瞳が、私の姿を捉える。だ、誰だろう? 凄いかっこいい人だけど、アイドル……なのかな。