第1章 お姫様にはまだ早い
変わりたい、変われない。自分の見てくれにまったく興味がなかった私だったが、ある日学校で好きな男子に告白して、その人から言われた一言がきっかけで、私は全てにおいて自信をなくしてしまった。
『す、好きですっ!!』
『え……お前みたいなブスが?』
『っ……』
嘲笑う声、馬鹿にしたような表情。ありえないとでも言いたげな態度に耐え切れず、私はその場を逃げるように走り去ることしか出来なかった。その日を境に、噂は当然の如く学年中に広まり陰で悪口を聞くようになった。
「あ、あの子だよあの子。あいつに告白したらしいじゃん」
「馬鹿だよね、あんなブスがサッカー部の部長でエースの彼に告白とか! まじ笑えるわ」
「だよねぇ! 自分の顔見ろって感じ」
――そんなこと、言われなくたって私が一番わかってる……。
自分が彼に相応しくないことなんて、わかっているんだ。それでも彼のサッカーしている姿とか、友達と笑っているところを見て、少なからず淡い恋心を抱いてしまって。接点のない私が彼と距離を縮めるためには、こうする以外思いつかなかったのだ。
「ブス、か」
窓に映る冴えない自分を見つめて、悔しくて涙が出そうになった。
こうして私は、晴れて不登校になった。