第7章 好き
「今度の日曜だけど…わたしの家に来ない? やっぱりもう少し勉強手伝って欲しいし…」
私は山本くんを家に誘ってみた。
勉強も見てもらいたいけど、もう少し身体が慣れるまで出掛けるの疲れるし。
映画に行ったらまた寝そうだし。
山本くんはニッコリ笑って頷く。
「もちろんいいよ。ところでお家の人は?」
「うちお父さんが土日休みじゃなくて、お母さんもパート行ってるから日曜の昼は誰もいないよ」
「そうなんだ…ふふっ」
彼が嬉しそうに笑う。えっと。
「あ、別に何も企んでないよ。何も」
突っ込む前に彼が言い訳する。
…
「わぁ、可愛い部屋」
私の部屋に入った山本くんがニコニコして言う。
「そうかな? なんか恥ずかしいね。部屋見られるのって。ジュース持ってくるからその辺に座ってて」
「ありがとう」
ジュースを持って部屋に戻る。
「ねぇ、このマンガ、こないだ観た映画だよね」
彼が私の本棚を指差して尋ねる。
「あ、そうだよ。山本くんはちゃんと観れた? 男子からしたらああいうのくだらないとか思う?」
「ううん。普通に面白かったよ。俺、やっと壁ドンを理解した。タイミング見計らって今度やるね」
「いいよ、やらなくて…」
無駄話をしつつ勉強を進める。
来週分の予習を週末にしておくと平日ラクになるよって言われて、なるほどと思った。
いや学習雑誌でそういう記事を読んだことある気はするんだけど、頭いい人はちゃんと実践してるんだね…。