第6章 しあわせ
今日は待ちに待った日曜日。
テスト前から約束してたデートの日。
私が観たい映画を観に行くことになった。
少女マンガ原作の恋愛映画。
映画館が少し暗くなって予告編が始まると、山本くんが私の手を握ってきた。
暗い映画館の中とはいえ、山本くんがこんな所で手を握ってくるなんて意外。
私は彼の顔をちょっと見てみる。
彼は優しく微笑んだ。
私は嬉しくなって、彼の肩にもたれかかった。ちょっとだけ。
予告編は山本くんが好きそうな近未来SF。
今日は私の趣味に付き合わせちゃったから、今度はこういうの観に来ようかな…。
…………
……さやかちゃん
彼の声が聞こえる。
後、映画の主題歌…いや、これエンディングテーマだ。
目を開ける。
…って、寝てた?
私は彼の肩に頭を乗せて寝てたことに気づく。
「あれ…? 映画…終わってる…」
「おはよ。ふふ…予告で寝ちゃってたね」
彼が笑う。
「うそ…。ごめんね…。わたしが誘ったのに…」
私は彼の顔を見て謝る。
「ううん。なんか幸せだった」
彼はニッコリ微笑んだ。
私もすごく幸せな気持ちになった。