第20章 -東京タワー-
「……っ⁈
我慢どころか…嬉しくて泣きそうだよ。
きっとお母さんも…
その時、今のわたしと
同じ気持ちだったんじゃないかな。
修造…ありがとう。」
ひかりがオレに抱きついてきた。
オレも強く抱きしめた。
「でも、どうやってココ…?」
「なんか頭スッキリさせたい時、
1人でそのコースよく行くんだ。
でも、さすがにホテル行けねぇし。
たまたまココ気付いてさ。
古いビルでなんも
テナント入ってねぇから、
セキュリティ緩いし、
屋上の入り口の鍵壊れてたし。
たまに管理会社来てるみてぇだけど。
ま、それ以来オレのお気に入り。」
「だからってそんな簡単に…」
ひかりが呆れるのも仕方ない。
昔取った杵柄は空手だけではない。
ココ見つけた時にも、
セキュリティ解除にも役に立った。
昔のことはいつかひかりにも言うか。
「…いろいろあんだよ。」
オレはそれ以上聞かれないように、
ひかりの唇をキスでふさいだ。
「んっ…。修造…っ。」
暫くキスと夜景を堪能し、
セキュリティはちゃんと戻してから、
オレ達はビルを出た。