第16章 -デート-
春休みに入っても、
ひかりは土曜日の練習に参加してくれた。
毎週土曜日の練習帰りは、
2人で一緒に帰っていたが、
デートらしいデートはしていない。
平日はオレは部活だし、
ひかりはバイトがあるし、
親父の病院にも行ってるし…。
親父はずっと入院しているが、
そのことはひかりには言ってない。
余計な心配はさせたくない。
週に1度の帰り道、
ひかりはビックリするくらい色々話す。
今日も部活のことや、
昨日観たドラマのこと、
なんでも話していたが…
「ねー、シュウちゃん。」
ふざけるときと、
何かお願いしたいとき、
ひかりは決まって、
「シュウちゃん」と呼んでくる。
だが、今日の言い方は
ふざけてるわけでもお願いしたいわけでも
どちらでもないように感じた。
「なんだ?」
「明日の午後って時間ある?」
「ん?…おう。」
それって…デートの誘い…か?
明日は久しぶりに練習は休みだ。
親父の病院は午前中に行くから、
午後ならなんとかなる…。
ひかりだって、
デートくらいしたかったよな。
違和感感じたのは…気のせいだったか。
でも…
今日の「シュウちゃん」は
お願いのほうだったのか…?