第12章 -キスの味-
その後、2人で職員室に鍵を戻し、
オレはひかりさんを家まで送った。
オレはこの上なく
満たされた気持ちでいっぱいだったが、
1つだけ気になることがあった。
平澤さん…。
付き合っていたんだろうか?
でも、さっきひかりさんは、
「ファーストキス」と言った。
気づかないふりをしても
いいのかもしれない。
聞かないままでもいいのかもしれない。
だが…
自分の気持ちに気づかないふりをして、
後悔したのはオレだ。
同じ思いはしたくない。
「送ってくれてありがとう。
時間、大丈夫?」
「…ひかりさん。」
「なぁに?」
オレを見上げるひかりさんが可愛くて、
トクンと胸が高鳴った。
「1つだけ…聞いてもいいですか?」
オレは呼吸を整えてから、
もう一度ひかりさんを見つめた。
「平澤さんと…付き合ってたんですか?」
余計なコトはゴチャゴチャ言わない。
オレは単刀直入にひかりさんに聞いた。