第12章 -キスの味-
………チュ。
気づいたら、オレは片手で
ひかりさんの肩を抱き寄せ、
ひかりさんにキスをしていた。
”ファーストキスはレモン味”
とはよく言ったもんだ。
誰が言ったか知らないが、
オレのファーストキスは
ひかりさんの
レモンのはちみつ漬けのおかげで、
本当に甘いレモン味になった。
「……⁈虹村…くん?あの…」
すぐに離れたが、ひかりさんは真っ赤だ。
「好きです。」
一瞬平澤さんのことが
頭をよぎったが、もう気にしてられなかった。
ひかりさんと再会してから、
オレはあの時自分の気持ちに
気づかないふりをしたことを心底後悔した。
中1の頃からひかりさんを
好きだったという気持ちは、
やっぱり消せない。
もう後悔はしたくない。
「じゅ…順番、逆だよ…」
「順番?」
オレが聞き返すと、
ひかりさんは顔を赤くしたまま
しどろもどろこたえた。
「告白して…あの…ちゃんと…
OKの返事を…もらってから、
キ…キスしないと…。」