第8章 -土曜日限定-
ひかりさんと再会したあの日から、
オレとひかりさんのメールのやりとりは
1日1、2回のペースで続いていた。
ひかりさんは、
まだ勇気は出ていないらしく、
この間の話にはならないが、
ひかりさんからのメールは、
オレに元気をくれた。
メールをするようになってから、
最初の土曜日。
珍しく午後練だったが、
オレは体を動かしたくて、
早めに学校へ向かった。
1番乗りだと思っていたが、
部室の鍵を開けようとしたら、
鍵が開いていた。
ん…?
誰か鍵閉め忘れたかぁ?
青峰あたりか?
あいつ、居残り練習よくしてるし…
「あれ?虹村さん?
おはようございます。早いですね。」
体育館のほうから来たのは、
オレに声を掛けた桃井と…
なぜかジャージ姿のひかりさんだった。
「おう。
って、なんでひかりさんが…?」
つか、今日の朝も
普通にメールきてなかったか?
たしか、バイトだって…。
オレの思考回路がわかるからか、
ひかりさんは桃井の横で、
オレにだけ見えるように
クスクス笑っていた。
「ひかりさんに
マッサージとか応急処置について
教えてもらえないかって
お願いしたんです♪ねー♪ひかりさんっ♪」
「うん♪
それでね、コーチにも話したら、
これから、土曜日だけ
練習に参加することになったの。
だから…またよろしくね。虹村くん♪」